【一次資料で確認】金融庁 令和9年度税制改正要望|NISAで要望されたのは「こどもNISA」ではなく“非課税枠の当年中復活”

金融庁が2026年8月31日に令和9年度(2027年度)税制改正要望を公表しました。原文PDFを開くと、NISA関連の要望は『非課税保有限度額1,800万円の当年中の復活』と『つみたて投資枠のETF要件の整備』の2本。SNSで期待されていた「こどもNISA」も「枠の拡大」も、今回の要望項目には入っていません(0〜17歳のつみたて枠は令和8年度改正で決着済み)。さらに損益通算をデリバティブ・預貯金等へ広げる要望も。⚠これは『要望』であって決定ではありません。31歳・地方公務員のヒロが、金融庁の原文だけを根拠に、決まったことと要望段階のことを分けて整理しました(2026年9月1日時点)。
📋目次(タップで折りたたみ)全 14 項目
2026年8月31日、金融庁が令和9年度(2027年度)税制改正要望を公表しました。
公表直後からSNSでは「NISAがさらに拡充される」「ついにこどもNISAが来る」といった投稿が流れています。ただ、金融庁の原文PDFを開くと、書かれている内容はそれとはかなり違います。

31歳・地方公務員のヒロです。
今回は解説記事を読まずに、金融庁が出した7ページのPDFを直接開いて中身を確認しました。
結論から言うと、「こどもNISA」は今回の要望に入っていません。そして何より、これは**「要望」であって「決定」ではありません**。
- ⚠今回のものは「要望」=要求段階。決まるのは早くても2026年12月中旬の与党税制改正大綱。見送られることもあります
- NISA関連の要望は2本だけ。①非課税保有限度額(1,800万円)の当年中の復活 ②つみたて投資枠のETF要件の整備
- ⚠年間投資枠は最大360万円のまま。枠が同じ年に戻っても、その年に投資できる額の上限は変わりません
- ⚠「こどもNISA」も「枠の拡大」も、今回の要望項目には入っていません。0〜17歳のつみたて枠は令和8年度改正で決着済み
- もう一つの目玉が損益通算の対象拡大(デリバティブ取引・預貯金等まで)
- 子育て世帯向けには生命保険料控除の2万円上乗せ(23歳未満の扶養親族がいる場合)の恒久化
- iDeCo・住宅ローン控除の要望は、金融庁の今回の要望には入っていません(所管が別)
- いま投資行動を変える必要は、基本的にありません
1. 先に結論:いまの積立を変える必要は、基本的にありません
長い記事になるので、先に一番大事なところを書きます。
今回のニュースを受けて、いま持っているNISAの積立設定を変えたり、慌てて売買したりする必要は基本的にありません。
理由は3つです。
- これは「要望」であって「決定」ではない。年末の大綱で見送られる可能性が普通にあります
- 仮に実現しても、年間投資枠は最大360万円のまま。いま積み立てている人の上限は変わりません
- 金融庁自身が「効いてくるのは令和11年以降」と注記している。急ぎの話ではありません
むしろ、この時期に「制度が変わるらしいから」と売買を増やすほうが、長期の資産形成には不利に働きやすいと考えています。
そのうえで、「じゃあ実際に何が要望されたのか」を原文ベースで見ていきます。
NISAの枠をどう使っているかは、証券会社の管理画面で年間の使用額と生涯枠の消化状況として確認できます。制度改正のニュースが出たときは、慌てて売買するより、まず自分の枠の残りを把握するほうが役に立ちます。
2. そもそも「税制改正要望」とは何か(ここが誤解の元)
いちばん誤解されているのがここなので、先に整理します。
毎年8月末、各省庁は翌年度の税制について「こう変えてほしい」という要望を財務省へ提出します。今回金融庁が公表したのは、その要望そのものです。
| 段階 | 時期の目安 | 状態 |
|---|---|---|
| ① 各省庁の税制改正要望 | 8月末 | ★いまここ(要求段階) |
| ② 与党の税制改正大綱 | 12月中旬 | 採否がほぼ決まる |
| ③ 政府の大綱を閣議決定 | 12月下旬 | 政府案として確定 |
| ④ 国会で法案審議・成立 | 翌年1〜3月 | 法律になる |
| ⑤ 施行 | 以降 | 実際に使えるようになる |
前年度(令和8年度)の実例では、要望の公表が2025年8月29日、与党の税制改正大綱が2025年12月19日、政府の大綱の閣議決定が2025年12月26日、その後の通常国会で所得税法等の改正法案が成立、という流れでした。
要望はあくまで各省庁の要求です。②の大綱の段階でそのまま採用されることもあれば、修正されることも、見送られることもあります。
ですから、いまの時点で「NISAの枠が同じ年に復活します」と言い切っている記事があれば、それは先走りです。正確には「金融庁がそう要望した」までしか言えません。
3. ★本題1:NISAで要望されたのは「非課税枠の当年中の復活」
では、原文には何と書かれているのか。金融庁のPDFの要望事項は、次の一文です。
あらゆる世代が自身のライフプランに沿った形で資産形成を行えるよう、非課税保有限度額の当年中の復活や、つみたて投資枠における要件の整備等、NISAの利便性向上等にかかる所要の措置を講ずること。
NISA関連は、この2本だけです。「年間投資枠を広げる」も「新しいNISAを作る」も、書かれていません。
「当年中の復活」とは何が変わるのか
いまのNISAでは、保有している商品を売ると、その簿価(買ったときの値段)の分だけ生涯投資枠1,800万円が復活します。ただし、復活するのは翌年です。
金融庁の資料の図は、この現状と検討案を並べています。
| 現状 | 検討案(今回の要望) | |
|---|---|---|
| 600万円分を売却した場合 | 枠が戻るのは翌年 | 売却した年のうちに戻る |
| 売却した年の年間投資可能額 | ゼロになり得る | 年間投資枠の範囲で使える |
| 年間投資枠の上限 | 最大360万円 | 最大360万円(変更なし) |
「枠がその年に復活する=何度でも売買できる」と読んでしまうと誤りです。
金融庁の資料の図には、検討案の側にもはっきり「年間投資枠の範囲 最大360万円」と書かれています。つまり、
- 600万円分を売って枠が当年中に戻っても
- その年に新しく投資できるのは、年間投資枠(つみたて120万円+成長240万円=最大360万円)の範囲まで
です。回転売買で非課税の恩恵を無限に受けられるようになる、という話ではありません。
なぜ「いま」この要望なのか
ここが個人的にいちばん納得したポイントです。PDFの注記には、こう書かれています。
(注)新NISA(令和6年に制度開始)の年間投資可能額が360万円以下となり得るのは令和11年以降だが、投資家の制度の予見可能性を高め、金融機関のシステム対応のため十分な期間を確保するためには今年度の改正が必要。
新NISAが始まったのは令和6年(2024年)です。年360万円の満額を使い続けても、生涯枠1,800万円に届くのは5年後。つまり生涯枠の残りが年間枠(360万円)を下回り始めるのは令和11年(2029年)以降で、「当年中の復活」がありがたくなるのもその頃からです。
それでも今年度に改正したいのは、投資家が先の見通しを立てられるようにするためと、金融機関のシステム改修に時間がかかるから、と説明されています。
裏を返せば、多くの人にとって当面の実害も実益もないということです。ここでも、いま慌てる必要はないという結論になります。
4. ★本題2:つみたて投資枠の「ETF要件の整備」
NISAのもう1本は地味ですが、実務的には意味のある話です。
つみたて投資枠の対象商品には要件があり、資料では「指定指数に連動するもの」と「指定指数連動以外」に分けて整理されています。指定指数連動以外の公募投信には、次のような要件が課されています。
- ① 純資産額50億円以上
- ② 信託開始以降5年経過
- ③ 信託期間の3分の2で資金流入超
- ④ 主に株式または公社債に投資
ETFについては、流動性を確保する観点から、国内取引所ETFは「円滑な流通のための措置が講じられている」として取引所が指定するもの、海外取引所ETFは資産残高1兆円以上、という要件が求められています。
そのうえで、指定指数連動以外のETFについては資料に「現状、要件未整備」と書かれており、「ETF市場の環境整備等が進展したことを踏まえ、対象とすべきETFの要件を整備する」というのが今回の要望です。
平たく言えば、つみたて投資枠で選べるETFの間口を広げるための土台づくりです。すぐに商品が増えるという話ではありません。
5. ⚠訂正:「こどもNISA」は今回の要望に入っていません
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
金融庁の令和9年度税制改正要望の原文には、「こどもNISA」という語も、子ども向けNISAを新設する要望も、一切出てきません。
では、なぜそう言われるのか。子ども向けの拡充は、昨年(令和8年度税制改正)ですでに決着しているからです。今回の資料でも、過去の実績として次のように触れられているだけです。
令和8年度税制改正において、つみたて投資枠の年齢要件の撤廃など制度の一層の充実が図られたところ。
| 論点 | 状態 | 内容 |
|---|---|---|
| 0〜17歳のつみたて投資枠 | 決定済み(令和8年度改正) | 年齢要件の撤廃。2027年〜 |
| 非課税保有限度額の当年中の復活 | 要望段階(令和9年度要望) | 売った枠が同じ年に戻る |
| つみたて投資枠のETF要件整備 | 要望段階(令和9年度要望) | 対象ETFの要件を整備 |
| 年間投資枠の拡大 | 要望されていない | 最大360万円のまま |
つまり、「2026年8月にこどもNISAが要望された」は誤りです。正しくは、
- 決まっていること:0〜17歳のつみたて投資枠(令和8年度改正で決着・2027年から)
- 今回あらためて要望されたこと:売った枠が同じ年に戻る仕組みと、ETFの要件整備
という整理になります。
子ども向けの制度そのものについては、「こどもNISA 2026年4月開始」はデマ|正しい開始時期2027年1月と準備と、【2026年度税制大綱】新NISAつみたて枠18歳未満解禁の影響に整理しています。今回の要望と混ざりやすいので、分けて読んでいただくのが安全です。
6. 損益通算の対象拡大(デリバティブ取引・預貯金等)
NISAの陰に隠れがちですが、投資をしている人にとってはこちらのほうが影響が大きいかもしれません。
金融庁は経済産業省・農林水産省と共同で「金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)」を要望しています。要望事項の原文は次のとおりです。
投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境の整備を図り、家計による成長資金の供給拡大等を促進する観点から、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大すること。
いまの損益通算の範囲は、2016年1月から上場株式等に加えて特定公社債等まで広がっています。ただ、デリバティブ取引・預貯金等は現在も対象外で、そこを取り込みたいという内容です。
複数の金融商品で出た利益と損失を相殺して、税金の計算対象を小さくする仕組みです。たとえば株で50万円の利益、別の商品で30万円の損失が出たとき、通算できれば課税対象は20万円になります。
通算できる商品の範囲が広がるほど、投資家にとっては税負担が調整しやすくなります。
ただし、これも要望段階です。資料には参考として、令和8年度税制改正大綱の次の一文が引用されています。
デリバティブ取引に係る金融所得課税の更なる一体化については、意図的な租税回避行為を防止するための方策等に関するこれまでの検討の成果を踏まえ、総合的に検討する。
「総合的に検討する」という表現は、まだ結論が出ていないことを示す言い回しです。実現するとしても、租税回避の防止策とセットで議論される見込みで、時間がかかりそうな論点だと読めます。
なお、NISAは損益通算の対象外(利益も損失もなかったものとして扱われる)という点は、この要望が実現しても変わる話ではありません。
7. 子育て世帯向け:生命保険料控除の2万円上乗せの恒久化
金融庁の要望の2本目の柱が「子育て世帯への支援」です。ここには生命保険料控除制度の拡充の恒久化等(農林水産省・厚生労働省・経済産業省と共同要望)が入っています。
現行制度では、23歳未満の扶養親族がいる場合、一般生命保険料に係る所得控除の上限4万円に2万円が上乗せされ、6万円になります。ただしこれは令和8年・9年限りの時限措置です。
今回の要望は、この2万円の上乗せを恒久化するというものです。
| 区分 | 現行(令和8・9年限りの時限措置) | 要望案(恒久措置) |
|---|---|---|
| 一般生命保険料控除(所得税) | 6万円(4万円+2万円) | 6万円を恒久化 |
| 介護医療保険料控除(所得税) | 4万円 | 4万円 |
| 個人年金保険料控除(所得税) | 4万円 | 4万円 |
| 所得控除限度額(所得税) | 12万円 | 12万円(変更なし) |
| 所得控除限度額(地方税) | 7万円 | 7万円(変更なし) |
注意点として、資料には「※一時払生命保険については、本制度の控除の適用対象から除外」と明記されています。また、全体の所得控除限度額(所得税12万円・地方税7万円)は変わりません。
23歳未満のお子さんがいて生命保険に入っている家庭には関係する話ですが、これも恒久化されるかどうかは年末の大綱次第です。
8. iDeCo・住宅ローン控除は、今回の要望に入っていません
「税制改正要望」と聞くと、iDeCoや住宅ローン控除の話を期待する方が多いと思います。念のため確認しましたが、
- iDeCo(個人型確定拠出年金)・企業年金・退職所得課税に関する要望項目はありません
- 住宅ローン控除に関する要望項目もありません
これらは所管がそれぞれ厚生労働省・国土交通省であり、金融庁の要望とは別に、各省庁の税制改正要望を確認する必要があります。本記事は金融庁の原文で確認できた範囲のみを扱っています。
なお、公務員のiDeCo拠出上限が月2万円から月6.2万円に引き上げられる改正は、今回の要望とは別に、すでに決まっている話です。こちらは【2026年12月改正】公務員のiDeCo上限が月2万円→6.2万円ににまとめています。今回の要望と混同しないようご注意ください。
9. そのほか、家計に関わりそうな要望項目
金融庁の資料には「主な要望項目」5本のほかに、「その他の要望項目」が17本挙げられています。そのなかで、個人の家計に関係しそうなものを拾っておきます。
- 死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ
- 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算)に係る所要の措置
- 上場株式等の相続税に係る見直し
- 結婚・子育て資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の廃止〔こども家庭庁主担〕
- 店頭デリバティブ取引の証拠金に係る利子の非課税措置の恒久化及び拡充
- 民法の改正(遺言制度の見直し)に伴う所要の措置〔法務省主担〕
いずれも項目名だけが挙げられており、詳細は資料に書かれていません。中身が分からないものを推測で書くのは避けますが、1点だけ触れておくと、結婚・子育て資金一括贈与の非課税措置については「廃止」が要望されています。拡充ではなく廃止です。この制度の利用を検討している方は、年末の大綱を確認しておいたほうがよさそうです。
10. で、公務員のぼくたちはどうするか
ここまで見てきて、ぼく自身の結論はシンプルです。
やらないこと
- 制度改正を見込んだ売買(要望段階なので、前提が崩れます)
- 積立設定の変更(年間投資枠は最大360万円のままです)
- 「こどもNISAが来る」前提の資金計画(今回の要望に入っていません)
やること
- 年末(12月中旬)の与党税制改正大綱を確認する。採否はここでほぼ決まります
- 自分の生涯投資枠1,800万円の消化状況を一度確認しておく
- 23歳未満の扶養親族がいる家庭は、**生命保険料控除の上乗せ(現行は令和8・9年限り)**が年末調整でどう扱われるかを見ておく
公務員の給与は年功で読みやすいぶん、制度の話に振り回されずに積立を続けやすいのが強みだと思っています。今回のようなニュースは、内容を正確に把握したうえで「だから今は動かない」と判断できれば、それで十分です。
共済貯金とNISAのバランスをどう取るかは共済貯金 年利0.8〜1.3% vs 新NISA、本気で比較してみたに、成長投資枠の使い方は新NISA成長投資枠の使い方【公務員の実例】に整理しています。
まとめ:「要望」と「決定」を分けて読めば、慌てずに済む
2026年8月31日に金融庁が公表した令和9年度税制改正要望のうち、NISA関連は**「非課税保有限度額(1,800万円)の当年中の復活」と「つみたて投資枠のETF要件の整備」の2本**でした。年間投資枠の拡大も、こどもNISAの新設も、要望されていません。
そして繰り返しになりますが、これは「要望」であって「決定」ではありません。採否が見えてくるのは2026年12月中旬の与党税制改正大綱です。
金融庁自身が「効いてくるのは令和11年(2029年)以降」と注記しているとおり、いま投資行動を変える必要は基本的にありません。ニュースの見出しではなく原文を見にいけば、たいていの「大改革」は、もう少し落ち着いた話に見えてきます。
年末の大綱が出たら、この記事も追記して更新します。
⚠️ 本記事のご利用にあたって(免責)
本記事は2026年9月1日時点で金融庁が公表している「令和9(2027)年度 税制改正要望について」(2026年8月)および関連する公表資料をもとに、一般的な情報として作成したものです。**本記事で扱う内容は各省庁の「税制改正要望」であり、決定された制度ではありません。**今後の与党税制改正大綱・閣議決定・国会審議の過程で、内容が変更されること、また実現しないことがあります。制度の詳細・適用時期・税額の計算は個々の状況によって異なりますので、実際の判断にあたっては必ず金融庁・国税庁等の公式情報および税務署・税理士等の専門家にご確認ください。本記事は特定の金融商品の購入・売却や、特定のサービスの契約を勧誘するものではなく、投資成果を保証するものでもありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
参考(2026年9月1日時点・一次情報)
- 金融庁 金融庁の令和9年度税制改正要望について(2026年8月31日):https://www.fsa.go.jp/news/r8/sonota/20260831.html
- 金融庁 令和9(2027)年度 税制改正要望について(PDF・本記事の引用元):https://www.fsa.go.jp/news/r8/sonota/fsa_trps_r9.pdf
- 金融庁 令和8年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-(PDF):https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251226-2/01.pdf
- 金融庁 証券・金融税制:https://www.fsa.go.jp/policy/shokenzeisei/index.html
- 財務省 税制改正の概要:https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html

公務員ヒロ
30代地方公務員 / 資産1,000万円超達成(公務員8年目)
「給料だけで資産1,000万円を超えるまでにやったことを、再現性重視で発信中。難しい知識は不要。」

