公務員が病気で長く休むと給料はどうなる?病気休暇→休職→共済の傷病手当金を時系列で整理【国と地方の違いも】

公務員が私傷病で長く休むとき、給与は「病気休暇(原則90日)→休職(国家公務員は1年まで8割を支給できる)→共済の傷病手当金(標準報酬の日額の3分の2・通算1年6か月)」の順に切り替わります。国家公務員は法律と人事院規則、地方公務員は各自治体の条例で決まるため、地方は自分の条例の確認が欠かせません。条文の原文にあたって整理しました。
📋目次(タップで折りたたみ)全 17 項目
- 最初は病気休暇。給与が出る休暇で、原則として連続90日まで
- 90日を超えて同じ病気で引き続き休むと、俸給の半額が減らされる仕組みがある
- それでも療養が必要なら休職。休職期間が満1年に達するまでは、俸給や手当などの「100分の80以内」を支給できる
- 休職給がなくなったあとの柱が、共済組合の傷病手当金。1日あたり標準報酬の日額の3分の2、支給開始から通算1年6か月まで
- 地方公務員は、病気休暇・休職給の部分が自治体の条例で決まる。国の数字をそのまま当てはめず、自分の条例を確認する
病気やケガで長く休むことになったとき、まず気になるのは「給料はいつまで、どのくらい出るのか」だと思います。
公務員の場合、この答えは一つの制度ではなく、三つの制度が順番にバトンを渡していく形になっています。しかも国家公務員と地方公務員では、前半の二つを決めているルールの置き場所が違います。
この記事では、条文の原文にあたれた範囲だけを使って、その流れを時系列で整理します。

地方公務員のヒロです。前職が民間だったので、「会社員なら傷病手当金で3分の2」という話は聞き覚えがありました。
でも公務員は、そこに行き着くまでの段階が民間とかなり違う。その差がどこから来るのかを、条文で確かめたくて調べました。
1. 全体像:給与は「三段階」で切り替わる
まずは国家公務員が公務外の病気(私傷病)で休む場合の流れを、一枚の表にします。地方公務員の違いは第4章で扱います。
| 段階 | 何で決まっているか | 期間の目安 | お金の出どころと水準 |
|---|---|---|---|
| ①病気休暇 | 人事院規則15-14 | 原則として連続90日まで | 給与(有給の休暇) |
| ①' 90日を超えて引き続く場合 | 給与法の附則・人事院規則9-82 | 90日経過後 | 俸給の半額を減ずる |
| ②休職 | 国家公務員法第79条・第80条 | 3年を超えない範囲で任命権者が定める | 満1年に達するまで俸給・手当等の100分の80以内を支給できる |
| ③傷病手当金 | 国家公務員共済組合法第66条 | 支給開始から通算1年6か月 | 標準報酬の日額の3分の2(共済組合から) |
- 期間は**「同じ病気で続けて休んだ場合」**の原則です。復帰と再発をくり返したときの数え方には別のルールがあります(第2章)
- 公務上の負傷・病気や通勤災害は、この表とは別の扱いです(病気休暇の90日上限の対象外で、休職中は給与の全額。補償は災害補償の制度)。本記事は私傷病に絞ります
- 結核性疾患には、期間を長くする特例があります
ここからは、段階ごとに条文で確認していきます。
2. 第一段階:病気休暇(原則90日・給与あり)
2-1. 何日まで取れるか
国家公務員の病気休暇は、人事院規則15-14第21条で定められています。人事院の休暇制度の概要では、病気休暇の期間は「勤務しないことがやむを得ないと認められる必要最小限度の期間(原則90日)」と整理されています。
条文を読むと、細かい決まりがいくつかあります。
- 公務上の負傷等を除く病気休暇(特定病気休暇)は、原則として連続して90日を超えられない
- 週休日や休日も、療養期間中なら日数に含めて数える(暦日で数えるイメージ)
- 連続8日以上の病気休暇のあと、実際に勤務した日が20日に達する前に再び病気休暇を取ると、前後は連続しているものとみなされる
- 90日に達したあとでも、明らかに異なる別の病気・ケガで療養が必要になった場合は、あらためて承認できる
「20日」のルールは見落としやすいところです。少し復帰してまた休む、という形だと、日数はリセットされずにつながる場合があります。
2-2. 給与はどうなるか
病気休暇は給与が支払われる休暇です。内閣官房の休暇制度の一覧でも「給与の有無」は「◯」とされています。給与法第15条は、勤務しなかった時間の給与を減らすことを定めていますが、「休暇による場合」は除くとしています。
ただし、長く続くと減額のルールが働きます。給与法の附則と人事院規則9-82(俸給の半減)は、一つの負傷・疾病による病気休暇等で、開始日から数えて90日を超えて引き続き勤務しないとき、その後の病気休暇の日について「俸給の半額を減ずる」としています。
- 休暇として取れる日数の原則上限が連続90日
- 給与の面でも、90日を超えて引き続くと俸給の半減が始まる
90日を超えて病気休暇が続くのは、たとえば別の病気で新たに承認を受けた場合などです。人事院規則9-82は、病気が治ったあと別の病気で病気休暇が続いた場合も、当初の開始日から数えて90日を経過したあとは半減の対象にするとしています。
3. 第二段階:休職(国家公務員は「1年まで8割」)
3-1. 休職とは
病気休暇で治りきらない場合、次は休職です。国家公務員法第79条第1号は、休職の理由の一つに「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」を挙げています。
休職は休暇とは性格が違います。第80条は、休職者は「職員としての身分を保有するが、職務に従事しない」とし、給与については法律に別の定めがない限り「何らの給与を受けてはならない」としています。つまり原則は無給で、例外として法律が支給を認めている、という作りです。
期間は人事院規則11-4で、休養を要する程度に応じて3年を超えない範囲内で定めるとされています。
3-2. 休職中の給与(給与法第23条)
その例外を定めているのが、一般職の職員の給与に関する法律第23条です。私傷病の休職に関係する部分をまとめます。
| 休職の原因 | 支給できる給与 | 期間 |
|---|---|---|
| 公務上の負傷・疾病、通勤による負傷・疾病 | 給与の全額 | 休職期間中 |
| 結核性疾患 | 俸給・手当等のそれぞれ100分の80 | 満2年に達するまで |
| それ以外の心身の故障(一般的な私傷病) | 俸給・手当等のそれぞれ100分の80 | 満1年に達するまで |
第3項で80%の対象として挙げられているのは「俸給、扶養手当、地域手当、広域異動手当、研究員調整手当、住居手当及び期末手当」です。通勤手当や時間外勤務手当は、そもそも勤務していない以上、この列挙には入っていません。
条文の表現は「支給することができる」です。また第6項で、休職者にはこの条に定める給与以外は支給しないとされています。
ふだんの手取りの8割になる、という意味ではありません。対象になる俸給・手当の8割であり、そこから共済の掛金や税金が引かれます。実際の金額は、給与担当に試算を頼むのが確実です。
3-3. 休職給が終わったあと
私傷病の休職給は満1年で終わります。その後も休職が続く場合、給与の面ではここで支えがなくなります。そこで出てくるのが、共済組合の傷病手当金です。

民間にいた頃のイメージだと「休んだらすぐ傷病手当金」でした。
公務員は、そこに行き着く前に病気休暇と休職給という二枚のクッションがある。この順番の違いは、知っておくだけで見通しがかなり変わると思います。
4. 国家公務員と地方公務員で、どこが違うのか
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
地方公務員の病気休暇と休職中の給与は、国の法律ではなく、各自治体の条例で決まります。
地方公務員法第24条第5項は「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」としています。休職についても、第28条第2項で「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」を休職の理由としたうえで、第3項で休職の手続と効果は、法律に特別の定めがある場合を除き「条例で定めなければならない。」としています。
| 項目 | 国家公務員 | 地方公務員 |
|---|---|---|
| 病気休暇の日数・数え方 | 人事院規則15-14 | 自治体の条例・規則 |
| 長期の病気休暇の給与減額 | 給与法の附則・人事院規則9-82 | 自治体の給与条例 |
| 休職の理由 | 国家公務員法第79条 | 地方公務員法第28条(心身の故障など) |
| 休職中の給与の割合・期間 | 給与法第23条(私傷病は満1年まで8割以内) | 自治体の条例 |
| 傷病手当金 | 国家公務員共済組合法第66条 | 地方公務員等共済組合法第68条 |
表の下の行を見てください。傷病手当金は、国家公務員は国家公務員共済組合法、地方公務員は地方公務員等共済組合法で定められていますが、支給開始(3日経過後)、額(標準報酬の日額の3分の2)、期間(通算1年6か月)という骨格は同じです。
一方、上の三行、つまり病気休暇と休職給の部分は、地方公務員だと自治体ごとに条例で決まります。国と同じ日数・割合になっているとは限りません。本記事では、自治体ごとの数字は確認していないため書いていません。
- 自治体の例規集(多くの自治体がサイトで公開)で、勤務時間・休暇に関する条例と規則を開き、病気休暇の期間を確認
- 給与条例で、長期の病気休暇の給与の扱いと、休職者の給与の条文(割合と期間)を確認
- 読み方が分からなければ、所属の人事・給与担当に「病気休暇が何日を超えると給与が変わるか」「休職給は何割で何年までか」の2点を聞く
5. 第三段階:共済組合の傷病手当金
5-1. 支給の条件・額・期間
ここからは、地方公務員等共済組合法第68条(国家公務員共済組合法第66条も同じ骨格)を使って説明します。
- 対象:公務によらない病気・負傷で、療養のため勤務できないとき
- いつから:「勤務に服することができなくなつた日以後三日を経過した日から」
- 1日あたりの額:直近12か月の標準報酬月額の平均額の22分の1の3分の2(組合員期間が12か月未満の場合は別の計算)
- 期間:同一の傷病について、支給を始めた日から通算して1年6か月(結核性の病気は3年)
標準報酬月額という言葉が出てきますが、これは毎年4〜6月の報酬で決め直される、掛金と給付の計算の土台です。仕組みは『共済の定時決定』で整理しています。休む前の働き方が、傷病手当金の額にもつながっているということです。
5-2. 給与が出ている間はどうなるか
共済組合法には、傷病手当金の支給期間に「報酬の全部又は一部を受ける場合」は、受ける額を基準として調整する規定があります。
つまり、病気休暇で給与が出ている間や、休職給が出ている間は、傷病手当金と給与が二重に満額出るわけではありません。実務上の調整の結果は人によって違うため、自分の場合にいつから実際に振り込まれるかは、共済組合に確認するのが確実です。
5-3. ほかの給付との調整
条文では、ほかにも調整の規定があります。
- 同じ傷病で障害厚生年金などを受けられるとき(年金のほうが少なければ差額を支給)
- 同じ傷病で障害手当金を受けたとき
- 出産手当金を受けられる期間(出産手当金のほうが少なければ差額を支給)
- 地方公務員災害補償法による休業補償などが行われるとき
また、1年以上組合員だった人が、傷病手当金を受けている途中で退職した場合は、一定の条件のもとで退職後も残りの期間の支給が続く規定があります(他の組合の組合員になった場合などを除く)。退職を考えるときは、手続きの前に共済組合に確認しておくと安心です。
6. 民間(協会けんぽ)の傷病手当金と比べると
前職が民間だった立場から、いちばん気になったのがここです。会社員の多くが入る協会けんぽの説明と並べます。
| 項目 | 共済組合(公務員) | 協会けんぽ(会社員) |
|---|---|---|
| 待期 | 勤務できなくなった日以後3日を経過した日から | 連続して3日間(待期)の後、4日目以降 |
| 1日あたりの額 | 標準報酬月額の平均の22分の1の3分の2 | 標準報酬月額を30で割った日額の3分の2(協会けんぽの計算例は17万円÷30) |
| 期間 | 通算して1年6か月 | 通算して1年6か月 |
| 給与との関係 | 報酬を受ける場合は調整 | 給与が支払われている間は支給されない(少なければ差額) |
| その手前の段階 | 法律・条例にもとづく病気休暇と休職給 | 会社ごとの就業規則による |
1日あたりの割り算の数字が違うのは条文と協会けんぽの説明で確認できます。ただしどの日を支給の対象として数えるかも合わせて見ないと、月単位でどちらが多いかは言えません。本記事では月額の比較はしていません。
大きな違いは、むしろ一番下の行です。会社員の場合、有給の病気休暇があるか、休職中に給与が出るかは会社の就業規則しだいで、ないことも珍しくありません。だから民間では、傷病手当金が早い段階から生活の柱になります。
公務員はその手前に、法律や条例にもとづく病気休暇と休職給があります。その分、傷病手当金が主役になるのは、休み始めてからかなり後になります。
7. 手続きと相談先
| 知りたいこと | 相談先 |
|---|---|
| 病気休暇の承認、必要な書類(診断書など) | 所属の人事担当・上司 |
| 休暇中・休職中の給与の見込み額 | 所属の給与担当 |
| 休職の発令、期間、復職の手続き | 所属の人事担当(任命権者) |
| 傷病手当金の請求、支給額、いつ振り込まれるか | 加入している共済組合(短期給付の担当) |
| 医療費の自己負担を抑える仕組み | 共済組合(高額療養費・附加給付) |
- 「今の病気休暇は、通算で何日目として数えられていますか」
- 「休職になった場合、月の支給額の見込みはいくらですか」
- 「傷病手当金は、いつから、どんな書類で請求しますか」
療養中は、書類を集めたり窓口に問い合わせたりするだけでも負担になります。家族に代わりに聞いてもらう場合に備えて、所属と共済組合の連絡先を一か所にメモしておくとよいと思います。
医療費の自己負担のほうは、共済には高額療養費に上乗せされる附加給付の仕組みがあります。『高額療養費と共済の附加給付』もあわせて読んでみてください。
8. まとめ
- 公務員が私傷病で長く休むと、病気休暇 → 休職 → 共済の傷病手当金の順にお金の出どころが変わる
- 国家公務員の病気休暇は原則連続90日。勤務20日未満で再び休むと連続とみなされることがある
- 90日を超えて引き続く場合は俸給の半額を減ずるルールがある
- 国家公務員の私傷病の休職は、満1年まで俸給・手当等の100分の80以内を支給できる
- 共済の傷病手当金は標準報酬の日額(22分の1)の3分の2、3日経過後から、通算1年6か月まで。給与を受ける間は調整される
- 地方公務員は、病気休暇と休職給が自治体の条例で決まる。傷病手当金の骨格は国と同じ
- 迷ったら、給与と休暇は所属の人事・給与担当、傷病手当金は共済組合へ
元気なうちに読んでも実感がわきにくい制度ですが、**「三段階で切り替わる」という全体像と、地方なら「条例を見る」**という二点だけでも頭に入れておくと、いざというときに慌てずに済むはずです。
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本記事は2026年10月27日時点で確認できた法令・公的機関の資料をもとに、地方公務員の個人の視点で制度の仕組みを整理した情報提供です。病気休暇・俸給の半減・休職・休職者の給与に関する記述は、国家公務員(一般職)についての国家公務員法、一般職の職員の給与に関する法律、人事院規則15-14・9-82・11-4にもとづいています。地方公務員の病気休暇の期間、給与の減額、休職者の給与の割合と期間は、地方公務員法にもとづき各自治体の条例・規則で定められており、本記事では個別の自治体の内容を確認していません。傷病手当金の額・期間・調整は、地方公務員等共済組合法第68条・国家公務員共済組合法第66条の条文にもとづいていますが、支給の対象となる日の数え方、請求の手続き、附加的な給付の有無などは共済組合の規程によります。公務上の災害・通勤災害、結核性疾患、条件付採用期間中の職員・臨時的な職員などは別の扱いがあります。ご自身の休暇の日数、給与・休職給の見込み額、傷病手当金の支給の可否と金額については、必ず所属の人事・給与担当および加入している共済組合でご確認ください。
出典(いずれも2026年10月27日に確認)
- 人事院「特定病気休暇(連続90日の上限)の運用に関する通知」:https://www.jinji.go.jp/seisaku/kisoku/tsuuchi/15_kinmujikan/1512000_H23shokushoku402.html
- 人事院「一般職の国家公務員の休暇制度(概要)」:https://www.jinji.go.jp/content/900018065.pdf
- 内閣官房内閣人事局「国家公務員の休暇制度」:https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/vacationsystem.html
- 人事院「人事院規則9-82(俸給の半減)の運用について」:https://www.jinji.go.jp/seisaku/kisoku/tsuuchi/09_kyuyo/0925500_kyuujitsukou1126.html
- e-Gov法令検索(国家公務員法、一般職の職員の給与に関する法律、人事院規則15-14・9-82・11-4、地方公務員法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法):https://laws.e-gov.go.jp/
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/

公務員ヒロ
30代地方公務員 / 資産1,000万円超達成(民間→地方公務員)
「給料だけで資産1,000万円を超えるまでにやったことを、再現性重視で発信中。難しい知識は不要。」

