公務員のボーナスは「勧告の月数」だけで決まらない?勤勉手当の成績率を人事院規則で読む【12月支給前に】

公務員の冬のボーナスのうち、勤勉手当だけは勤務成績で人によって差がつきます。人事院規則九―四〇第9条・第13条の原文から、成績率の4区分(特に優秀・優秀・良好・やや不十分以下など)、期間率との掛け算、架空の数字での計算例、国と地方の違いを整理します。
📋目次(タップで折りたたみ)全 9 項目
- ボーナスのうち勤勉手当だけが、勤務成績で人によって差がつく手当
- 計算の骨格は「勤勉手当基礎額 × 期間率 × 成績率」(人事院規則九―四〇 第9条)
- 成績率の区分は4つ。条文上の範囲は特に優秀=1.2525以上3.1875以下/優秀=1.1375以上1.2525未満/良好=1.0225/やや不十分以下=0.9375以下
- 勧告で話題になる「12月期は何月分」は制度上の割合。自分の勤勉手当はこの成績率の区分で変わる
- 地方公務員は自治体の条例・規則。国の数字をそのまま当てはめない
12月10日が近づくと、「今年のボーナスは何月分?」という話題が増えます。ただ、その月数はあくまで制度が用意した枠の話です。
自分の手元にいくら入るかは、実はもうひとつの要素、勤務成績に応じた成績率でも変わります。この記事では、人事院規則九―四〇の条文をそのまま読んで、その仕組みを整理します。

地方公務員のヒロです。
「勧告で何月分に決まった」というニュースは目にするのに、「じゃあ自分の勤勉手当はどう決まるの?」を条文で追った記事は少ない気がして、原文にあたってみました。
先に言っておくと、個人の区分や評価は外から分からない部分が多く、この記事でも断定できないところは「確認できていません」と書きます。
1. 期末手当と勤勉手当は何が違う?
公務員のボーナスは、国家公務員では期末手当と勤勉手当の2本立てです。
- 期末手当:基準日(6月1日・12月1日)に在職していることなどで支給され、基本的には全員に共通する割合の考え方
- 勤勉手当:基準日以前の勤務期間と、勤務成績に応じて支給される
どちらも「基準日に在職している職員」が対象という点は同じです。ただし条文を読むと、勤勉手当には勤務成績を反映する仕組みが組み込まれています。
- 第7条:勤勉手当の支給を受ける職員(基準日に在職する職員のうち、休職中の人などは除かれる区分がある)
- 第9条:支給割合=期間率 × 成績率
- 第10条・第11条:期間率は基準日以前6か月以内の勤務期間で決まる(育児休業や長期の欠勤などの期間は勤務期間から除かれる規定がある)
- 第13条:成績率の区分と範囲
- 第14条:支給日は別表第三(12月1日基準日は12月10日)
条文そのものは、e-Gov法令検索の人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)で読めます。
2. 勤勉手当の計算式は「基礎額 × 期間率 × 成績率」
第9条は、勤勉手当の支給割合を次のように定めています。
次条に規定する職員の勤務期間による割合(期間率)に、第十三条及び第十三条の二に規定する職員の勤務成績による割合(成績率)を乗じて得た割合とする。
つまり、
勤勉手当の額 = 勤勉手当基礎額 × 期間率 × 成績率
という3つの掛け算の形です。
- 期間率:基準日以前6か月以内に、どれだけ勤務したか(第10条・別表第二)
- 成績率:勤務成績の区分に応じた割合(第13条)
ここで押さえたいのは、成績率が「制度上の月数」にあたる部分を左右することです。たとえば令和8年6月期、成績標準者の勤勉手当は制度上の1.0625月ではなく1.0225月で計算されていました(内閣人事局の発表をもとにした整理は『公務員の冬のボーナス2026』にあります)。この1.0225という数字は、次の章で見る良好の区分の成績率(ハ)と同じ数字です。
3. 成績率の4区分を条文で読む
人事院規則九―四〇 第13条第1項第1号が、一般の職員(専門スタッフ職・指定職・任期付職員などは別号)の成績率を4区分で定めています。条文の言葉を、少しだけやさしく言い換えて並べます。
| 区分 | 対象(条文の要旨) | 成績率の範囲 |
|---|---|---|
| イ | 直近の業績評価が「非常に優秀」の段階以上で、勤務成績が特に優秀な職員 | 1.2525以上3.1875以下 |
| ロ | 直近の業績評価が「優良」の段階以上で、勤務成績が優秀な職員 | 1.1375以上1.2525未満 |
| ハ | 「優良」以上で勤務成績が良好な職員、「良好」の段階の職員、直近の人事評価の結果がない職員 | 1.0225 |
| ニ | 「やや不十分」の段階以下の職員、基準日以前6か月以内に懲戒処分を受けた職員など | 0.9375以下 |
※ 条文では「百分の百二・二五」のように書かれています。これを小数にした値(102.25/100=1.0225)を載せています。特定管理職員は別の割合(たとえばハが1.2225)が定められています。
見てほしいのは次の3点です。
- ほとんどの職員が当たる区分はハで、ここは範囲ではなく1.0225の一点
- イ・ロは上位の評価の職員だけ。ロの下限(1.1375)は、ハ(1.0225)より0.115月分高い
- ニは「以下」=上限だけの規定で、懲戒処分を受けた職員もここに入る
上の割合は、2026年10月30日にe-Gov法令検索(人事院規則九―四〇)の条文で確認した数値です。令和8年の勧告で12月期の勤勉手当が引き上げられる(1.0625月→1.0875月)ため、12月期に合わせて規則や人事院の定めが改正される可能性がありますが、その改正が出ているかどうかは確認できていません。12月10日前後に、最新の条文と内閣人事局の発表で確かめてください。
4. 区分ごとに金額はどれくらい違う?(架空の数字で計算)
仕組みを実感するために、あくまで計算練習用の架空の数字で比べます。
- 勤勉手当基礎額:30万円(架空)
- 期間率:1(基準日以前6か月をすべて勤務した場合を仮定)
基礎額 × 期間率 × 成績率で計算すると、次のようになります。
| 区分と成績率 | 計算 | 勤勉手当の額(架空) |
|---|---|---|
| ニ(上限)0.9375 | 30万円 × 1 × 0.9375 | 28万1,250円 |
| ハ 1.0225 | 30万円 × 1 × 1.0225 | 30万6,750円 |
| ロ(下限)1.1375 | 30万円 × 1 × 1.1375 | 34万1,250円 |
| イ(下限)1.2525 | 30万円 × 1 × 1.2525 | 37万5,750円 |
ハ(30万6,750円)と、ロの下限(34万1,250円)の差は3万4,500円。同じ基礎額でも、区分が違うだけでこれだけ開きます。
ただし、これは条文の範囲をそのまま掛け算した練習問題です。実際の基礎額に何が含まれるか、実際にその区分に何割の人が当たるか、各庁の長が範囲内のどこに成績率を定めるかは、この記事では確認できていません。自分の金額を当てはめる材料ではありません。
5. 条文から読み取れる「差のつき方」のルール
第13条には、区分表のほかにも、読んでおくと理解が深まる規定があります。
- 第3項:成績率は、直近の業績評価の全体評語が自分より上位の職員の成績率を超えてはならない。評価の高低が逆転しないための歯止め
- 第4項:評語が同じ段階の職員の中でどの区分に当たるかを決めるときは、評語が付された理由や個別評語などを考慮する
- 第5項:イ・ロに当たる職員の人数の基準となる割合は人事院が定める(この記事では具体的な割合を確認できていません)
- ただし書き:職員が著しく少数であるなど、イ・ロの成績率によることが著しく困難な場合は、人事院と協議して別段の取扱いができる
ここから分かるのは、勤勉手当の差は**「頑張ったから上乗せ」というような個別の裁量だけで決まるのではなく**、人事評価の結果と、上位区分に当たる人数の基準という枠の中で決まる仕組みだということです。

大事なのは、この記事は条文の仕組みの解説で、個別の評価や金額を保証するものではないということ。
評価の結果や、どの区分に当たるかは、所属の人事担当に聞くしかない部分です。気になる人は、決めつけずに確認してみてください。
6. 地方公務員は同じ?
ここまでは国家公務員(一般の職員)の人事院規則の話です。
地方公務員の勤勉手当は、各自治体の給与条例・規則で定められます。国に準じて同じような区分を置いている自治体が多いと考えられますが、割合や運用は自治体ごとに違う可能性があります。この点は、自分の自治体の条例を確認していない以上、断定できません。
地方公務員の給与改定やボーナスの反映時期については、別記事『人事院勧告3.51%は「国だけ」の話——地方公務員の給料が実際に上がるのはいつ?』で整理しています。
7. 12月10日に向けて、見ておきたいこと
最後に、条文を読んだうえで「現実的にやっておくとよいこと」をまとめます。
- 制度上の月数と、自分の勤勉手当を分けて考える:勧告の「何月分」は枠の話。自分の額は成績率の区分で変わる
- 12月10日前後に、最新の公表を確認する:内閣人事局が支給日に発表する支給状況(成績標準者ベースの数字)が、ひとつの目安になる
- 明細の読み方を知っておく:給与明細の見方は『公務員の給与明細の読み方』にまとめています
- 地方公務員は、自分の自治体の条例・規則を見る:国の数字を当てはめない
- 評価や区分の疑問は、所属の人事担当に聞く:外部の情報だけで判断しない
8. まとめ
- 勤勉手当は、勤勉手当基礎額 × 期間率 × 成績率(人事院規則九―四〇 第9条)
- 成績率は4区分(イ:1.2525〜3.1875/ロ:1.1375以上1.2525未満/ハ:1.0225/ニ:0.9375以下)。2026年10月30日にe-Govで確認した数字で、12月期の改正の有無は未確認
- 勧告の「何月分」は制度上の枠。実際の勤勉手当は区分で変わる
- 区分の人数の基準割合や、各人の区分はこの記事では確認できていません
- 地方公務員は自治体の条例・規則を確認する
数字の置き方で迷うときは、『公務員の冬のボーナス2026』で「原資」と「実支給」を分けて読む考え方を、『人事院勧告の中身』で今年の勧告の全体像を確認できます。
関連記事
- 公務員の冬のボーナス2026 — 支給日12月10日と、制度上の月数・実支給の違い
- 【確定】2026年(令和8年)人事院勧告の中身 — 月例給とボーナスの勧告内容
- 公務員の給与明細の読み方 — 支給・控除・差引支給額を検算で読む
- 公務員ボーナスの「業績等手当」 — 勧告で示された新しい手当の骨格
- 人事院勧告は地方公務員にいつ届く? — 国と自治体の時差
本記事は2026年10月30日時点で確認できた法令(人事院規則九―四〇)および人事院の公表資料をもとに、地方公務員の個人の視点で制度の仕組みを整理した情報提供であり、特定の金融商品・サービスの購入や申込を勧誘するものではありません。成績率の区分・割合は、国家公務員(一般の職員)についての2026年10月30日時点のe-Gov法令検索掲載の条文を根拠としており、令和8年12月期に向けた改正の有無、区分ごとの人数の基準割合、各人の区分や評価の扱いは確認できていません。計算例の数字はすべて架空であり、実際の支給額・区分を示すものではありません。地方公務員の勤勉手当は各自治体の条例・規則によるため、国と異なる場合があります。個別の状況は、所属の人事・給与担当、または人事院・内閣人事局の最新の公式資料でご確認ください。
出典(いずれも2026年10月30日に確認)
- e-Gov法令検索「人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)」第7条・第9条〜第11条・第13条:https://laws.e-gov.go.jp/law/338RJNJ09040000
- 人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」(令和8年8月):https://www.jinji.go.jp/content/000017812.pdf
- 内閣官房内閣人事局「令和8年6月期 期末手当・勤勉手当の支給状況」(令和8年6月30日):https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/20260630_bonus_lec.pdf

公務員ヒロ
30代地方公務員 / 資産1,000万円超達成(民間→地方公務員)
「給料だけで資産1,000万円を超えるまでにやったことを、再現性重視で発信中。難しい知識は不要。」

